中性浮力が取れない

というよりは「中性浮力」の感覚がわかっていない、わからないんですよネ。
ハウツー物の本で読んだんですが、中性浮力の最大の敵はBCなんですって。

痛(つう)さんも最初は「BCへのエアーの出し入れで中性浮力を取るものだ」と信じ込んでいましたが、これは間違いでした。

「中性浮力は肺で取る」

これです!

水中では「ゆったりとした呼吸」をするのですが、肺に空気が満タンになると体は徐々に浮いて行きます。そして息を吐ききると逆に徐々に沈みます。
これが中性浮力の正体というか物理現象なのです。
人間の体自体が大きな浮き袋なので、しごく当たり前というか…

ただ、やっかいなのが浮き始め、沈み始めに少し「間」があることです。息を吸い始めると同時に体が浮き始めてくれれば感覚的にわかりやすいのですが、吸っている間は浮かないで吐き始めた頃にやっと浮き始めてくる。

このことを冷静に理解していないと浮き始めた頃に「全身の感覚」が「(息を吐いているのに)浮き始めた」と解釈してしまい、「このままだと水面まで浮き上がってしまう」と恐怖心を煽(あお)りたて、BCからエアを抜く、という行動を起こさせてしまうのです。それでバランスが崩れてせっかく中性浮力に近い状態にあっても、一変してBCへのエアの出し入れになってしまう。痛さんの場合はそうでした。

と、ちょっと理屈っぽくなりましたが、「BCは浮力調整の補助手段」と考え方を変えない限り中性浮力は遠いです。

次回のダイビングで次の呼吸法を試してみて下さい。
呼吸のパターンを変えることで浮力の調整をしてみよう、という実験です。
痛さんはダイビングの都度、何か課題を持って水中に行くことにしています。

<浮き気味にする呼吸法>
吸う時は、
「肺の半分ほど一気に息を吸ってしまって、あとは徐々に吸って行く」
(スーッ、1,2,3,4)
吐く時は、
「肺の半分まで徐々に吐いて行き、残りを一気に吐いてしまう」
(1,2,3,4,5,6,7,8、フーッ)

これの繰返し。

<沈み気味にする呼吸法>
吸う時は、
「肺の半分ほど徐々に息を吸って、あとは一気に吸ってしまう」
(1,2,3,4、スーッ)
吐く時は、
「肺の半分まで一気に吐いてしまい、残りを徐々に吐いて行く」
(フーッ、1,2,3,4,5,6,7,8)

これの繰返し。

この呼吸法で対応が取れなくなった時に初めてBCを使います。
なお、絶対に途中で息を止めてはいけません

この呼吸パターンも今ここで試してみましょう。
なにも海に行かなくても、この場でできるのですから。

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