タカチンシとアマウシジ 1999年5月22日
昨日は久々のダイビングに加え、生まれて初めての釣りまでしてしまって疲れで早々とグッスリと眠ってしまった。
おかげで今朝は朝から絶好調。
昨日と同じスケジュールで8時半から朝食となった。ただ昨日と違うのは今朝はスタッフと一緒のテーブルを囲む。すっかり座間味へ里帰りしたような雰囲気だ。これもシーズンオフならでの貸し切り特権の一つだろう。しかし、一度こんな経験をしてしまうとクセになりそうで怖い。
今日は人数の多いときには行かないという外洋のポイントを案内してくれるのだという。外洋なので流れがある、と聞いてワイフともどもチョット眉がくもる。二人してどうも流れは苦手だ。
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<1本目>
ポイント名:タカチンシ(クジラ岩)
天候:曇り うねり:少々 流れ:あり
EN:10時01分 EX:10時29分 潜水時間:28分
最大深度:-21m 平均深度:-13.7m 水底水温:25℃
ここはクジラ岩と呼ばれているポイントである。見様によってはクジラに見えないこともない。岩の上には数人の釣り客、岩の周りにも数隻の釣り舟。迷惑そうにこちらを見ている。
外洋からの流れが当たるので、釣り人が喜ぶ大物が集まるポイントとのこと。海の色の青が濃い。
「少し流れているので、アンカーロープ沿いに潜行して下さい」
ブリーフィングでそんな風に言われて少々緊張気味にエントリー。
エントリー後、垂直に近い角度でそびえる壁伝いに、流れに逆らって左回りに岩の裏側へと回る。マスクに圧力を感じるほどの流れがある。きれいな薄紫のナンヨウハギが何匹か戯れている。それほど深くない海底には上から落ちたのか、ごろごろと角張った岩が落ちている。大きなハナミノカサゴがゆったりと揺れている。
半周した辺りから今度はドリフト。スーッと流れに乗ってエントリー地点付近まで戻ってくる。アンカー付近ではカスミチョウチョウウオの群れが乱舞していた。流されないように岩につかまって回りを見ると、遠くのほうは水色から少し濃いブルーの世界が続いている。
ふと、中層を見上げるとメートル級のイソマグロが単独で突っ切ってきた。実にカッコいい。あわててオーナーの村田さんにシグナルを送る。そのマグロをオーナーのビデオが追いかける。
エキジット直前には4~50匹の子供のイソマグロの集団に出会った。さすがに大物が現れるポイントの名に恥じない。
アンカーまで戻ってくると、スタッフのツネさんがボートのアンカーロープをずっと保持してくれていた。
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<2本目>
ポイント名:アマウシジ
天候:曇り うねり:無し 流れ:あり
EN:13時23分 EX:14時03分 潜水時間:40分
最大深度:-15m 平均深度:-8.6m 水底水温:25℃
「ここはアマウシジといいます」
海面から高さ10mほど突き出しているチョット「烏帽子(えぼし)」に似た岩の陰にボートをアンカーすると、村田さんのブリーフィングが始まった。
「一山越えて向こう側を進みます。初め流れに逆らって行きます」
「この岩をぐるっと回ってきて終わりです」
ちょっと曇っているので水中ライトをもって行った方が良いというので1本借りてエントリー。
6mほどの海底で集合してから移動を開始すると、すぐに見事なサンゴの丘をいくつか越えた。巨大なテーブルサンゴの間を隙間なくエダサンゴが埋めている。カラフルな魚が無数に泳いでいる。
しばらく進むが、サンゴは切れ目がない。まさに宝石箱のような「座間味のサンゴのある風景」が続く。
やがて体で流れを感じるようになると、ブリーフィングで教わった通りに海底のこぶのような岩とか、サンゴの端とかをつかんで進む。流れに逆らうときはフィンキックはムダだからしちゃダメなのだそうだ。村田オーナー、我々の体力とかスキルとかを見抜いてくれていて、流れに逆らって少し進んでは大きな岩陰で休憩を取ってくれている。おかげで息が上がることもなく、景観を楽しむことができる。
モンガラカワハギや、大型のシチセンチョウチョウウオなどを見て、さらに進む。
サンゴの間に生えているイソバナも見事だ。
大きな岩を一回りしてエキジット。
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帰り道、ある目的でスキンをすることになった。ウエットを着てスキンダイビングをするのは初めてだったので、
「ねぇ、オーナー。器材をつけた時と無しとでウエイトはどのくらい変えるものなの?」
と聞いてみると
「一緒や」
との答え。
「えェ? 重すぎない? 沈んじゃったらどうしよう」
「その時はベルトを外せばいいんです」
滞在中ずっとアシストしてくれているスタッフのツネさんが笑いながら教えてくれる。
「アッ、そうかァ」
ボートの上が家族的な雰囲気で満たされる。
それでも4kgのウエイトをベルトに着けて、恐る恐る船べりに垂らした金属製のタラップを降りる。器材を背負った時の2~3kg減だ。
そして意を決して、
「それっ!」
と、上体を海に押し出してみると、勢いがついたまま沈まずにそのまま浮いている。
(オッ 大丈夫だ)
そのまま水面移動して先に行ってしまったオーナーの後を追う。
「痛さん、ここスッゴくサンゴがきれい!」
とオーナーが20m位先でこっちを呼んでいる。
ワイフの方は、
「ウエイトをつけるのやっぱり恐い」
と言って、ウエットのままスキンを始めた。
ここは目の前にそびえている壁のふもとから沖に向かって、まさにサンゴに敷き詰められている。ジャックナイフで頭から潜ってみると逃げ場を探して小魚が右往左往している。ほんの2~3mの浅場だが、生き物は元気に動き回っている。