さようなら座間味の海 1997年7月
翌朝はチョット忙しかった。オーナーに「8時半に会計しに来てくれ」と言われているのでその前に荷造りをすることにしたからだ。6時に起きて、昨日干しておいた器材を取り込みパッキングを始める。ウエットなどまだ湿っているが仕方が無い。帰りの「クイーンざまみ」の座間味港出港は午前10時5分である。汗だくになって荷造りを済ませ、民宿でトーストパンの朝食を摂ってから、約束の時間にサービスに出向いた。サービスではちょうど朝食の時間で、手作りのパンがカウンターの上に乗っていた。食事はこちらの方がよさそうだ。
9時45分に車を回すからそれに荷物を載せて港まで行ってくれ、と言うので少し早目に民宿を出て車を待った。やがてやってきた車には、ここへ着いた時に出迎えてくれた加藤クンが乗ってきた。港まで荷物を運んでもらい、「クイーンざまみ」を待つ間、加藤クンとしばらく雑談。彼は今のところ陸(おか)での仕事がメインのようであるが、オーナーの仕込みが良いのか言動もきびきびしていて気持ちの良い青年である。
やがて出港の時がきた。船の別れっていつまでも見えているのでキビシイものがある。船が桟橋を離れると、船の上と桟橋とでお互いに手を振ってのお別れだ。加藤クンはいつまでも大きく手を振ってくれていた。
(さようなら座間味の海、さようならお世話になった皆さん。きっとまた帰ってくるョ)
そんな我々の思いを乗せて「クイーンざまみ」は一気に那覇の泊港を目指して速力を上げていった。