「ふるさと」座間味へ(2001年5月21日)


「5月21日ってオーナーの誕生日じゃなかったっけ?」
「え?」
「ほら、座間味のさぁ」
「え? 分んない」

今年も「伊豆でも5mmウエットで潜れるョ」なんていう風の便りを聞くようになって、フト思い出したのが沖縄ケラマ諸島の座間味島だった。

「たぶん間違いないょ」
「おととしの5月に行ったときにチラっとそんなこと聞いたもン」

いつものようにワイフとそんな会話を交わして、そして一応メールを送って誕生日の確認をして、バタバタと座間味へ今年の初ダイビングへ行くことになった。
今回もツアー会社はマリオツアーさん。格安なので良く利用する。
お世話になるダイビングサービスは座間味の「沖縄リゾート」さん。
オーナー村田さんのエネルギッシュで熱いハートに惹かれて、今回で4、5回目の座間味ダイビングツアーである。

5月21日(月)

JALの団体受付カウンターでツアーのクーポン券を受け取り、搭乗手続きを済ませる。
今回は座間味の沖縄リゾートまでダイビング器材を送ってしまったので、いつものようにゴロゴロとキャスターの音を響かせて移動することも無い。
二人分の器材の送料が4千円弱なので器材は送ってしまう方が、フットワークが良くなってダンゼン便利。

やがて搭乗案内のアナウンスがあり、ゾロゾロとした列にまざって機内へ乗り込んだ。

⊿⊿⊿⊿⊿

沖縄は梅雨だった。
厚い雲を突き抜けた先に見えた那覇空港は激しい雨が降ったばかりなのか、ビショビショだった。
預けた手荷物を受け取って空港ビルを出ると高温多湿のムッとした空気がまとわりついてくる。
「すごい湿度ね」とワイフ。

タクシー乗り場からタクシーに乗り込むと早速お土産を買うための店へ行ってもらう。
「明治橋を渡って直ぐ左に海の方へ曲がって行くと、平屋の倉庫みたいな安売りの店があるんだけど分りますか?」
「去年行ったんだけど店の名前が分らないンです」
「………」と、初老の運転手さん、考えながら車を走らせている。
「泡盛だけじゃないンです」
「お菓子とか、雑貨とか、琉球ガラスなんかも有るんです」
身を乗り出して懸命に説明を試みる私たち。

「……… !」
「たぶんあそこだナ」と、運転手さん。
「たぶんそこです」と、私たち。
那覇市内の渋滞情報で有名な明治橋を渡って最初の信号を左折すると、景色になんとなく見覚えがある。
「そうそう、こんな感じ」
タクシーは迷わず進んで行く。

やがて「ここだ!」という店の駐車場に着いた。パシフィックホテル沖縄のまん前である。
店の名前は「プリマ」だった。
「待っていてあげる」という運転手さんの言葉を後ろに聞いて、店の中へズンズンと入って行く。
わき目も振らず、地元の人のように、迷わずに、泡盛がダーッと並んでいる奥のコーナーへと向かう。
この店は卸販売をしていて市価より何割か安く買えるので去年から「お土産を買う店」と決めたのだ。

泡盛のコーナーで後ろを振り向くとワイフがいない。
(アレ?)
と思って少し戻ると黒糖を漁(あさ)っている。チョコにも手が伸びた。

お土産用と自分たち用と10本近く泡盛を買って、職場へのお土産用に「ちんすこう」の袋入を幾つか買って支払を済ませると、レジの横のサービスカウンターから着日指定で自宅へと送ってしまう。
こうすれば帰りにお土産太りしなくて済むのでラクチンなのだ。以前は紙袋をいくつも抱えて大変だった。

お土産の心配が無くなったところで時計を見ると、お昼を過ぎている。
タクシーの運転手さんに「国際通りの三越まで」と行き先を告げる。

三越デパートの角で車を降りて横断歩道を渡り、牧志(まきし)の公設市場へとアーケードをブラブラと歩く。
今日は月曜日、平日のせいなのか観光客と思しき人はあまり歩いていない。
でも今の時期は修学旅行が多いそうで、中高生4、5人のグループが私服でウロウロしているのが目に止まる。
見覚えのある店先を過ぎて公設市場を見つけ、2階の食堂街へエレベータで上がった。

⊿⊿⊿⊿⊿

座間味島へ渡る高速船「クイーンざまみ」の出航は午後3:00。
市場のそばの果物屋さんでオーナーへのお土産にパッションフルーツを買い、タクシーで泊(とまり)港北岸へ向かった。

今日の座間味への海上は波がすごい。
知らずに前の方の席に陣取ったのが運のつき。船ががぶる度にジェットコースターの急降下状態。
船室に入る時に船尾に近い席から埋まっていったのが納得だ。地元の人は知ってるのだろう、前の方には一人も来ない。

修行僧のようにジッと激しい揺れに絶えること50分、「クイーンざまみ」は2度3度「プー」と汽笛を鳴らして座間味港に入港した。
桟橋では沖縄リゾートのスタッフのエイちゃんが出迎えてくれた。

1年ぶりの沖縄リゾートに着いて受付を済ますと、これから3泊4日を過ごす去年の夏に建てたばかりのコテージに案内された。室内は半中二階で5人までが滞在できるスペースがある。

午後6:30からの夕食の時に、オーナーの手が空いたタイミングを見計らってミニ誕生会を開いた。
オーナーはケーキを食べないので横浜から「東京あられ」を用意してきて、それをバースデーケーキ代わりにプレゼント。
「あられ」を受け取る時オーナーは少年のようにチョットはにかんでステキに微笑んだ。