東牛(アガリウシ)、アムロ漁礁(2000年7月27日)


昨夜はナイトダイビングから帰ってくると、そのまま解散となったのでシャワーを浴びてシュッコロと眠りについた。

そして今朝は7時に起き出して「スーパー105」へお昼のための弁当を買いに出た。以前はお願いすれば「沖縄リゾート」さんでお弁当を手配してくれていたが、手がかかるのか今は各自で用意する。
外は台風の影響か、時折強い風が吹き抜けて空を黒雲が足早に駆けている。

この天気では今日も定期船は欠航だそうだ。昨日帰れなかった神戸の青年はオーナーの計らいでRAC(琉球エアコミューター)の1番の便が取れて、飛行機で那覇まで帰ることになった。
(我々が帰るのは明日なので、それまでには台風は行ってしまうだろう)と安易に考えて、我々は今日のダイビングの支度にかかった。

1本目 東牛(アガリウシ)

昨日のビデオの進水式では最後になってハウジングの内側が曇ってしまったので、今日はスーパー105で買ってきた「せんべい」に入っていた乾燥剤を入れて曇りに対処した。

ポイント名の「アガリ」とは太陽が昇る東のことをこの土地では「アガリ」と呼ぶんだそうで、遠く琉球王朝の時代からの歴史に触れる「格調高い」ブリーフィングの後、それぞれエントリー。

エントリーして直ぐ、岩陰にミナミハタタテダイが2匹いた。

ここのポイントの目的は「スミレナガハナダイ」。多くは水深30m位の深い所にいる魚だが、このポイントでは10m位の浅い場所で見ることができる。-5mの水底に集合して移動を開始すると直ぐに、一面にエダサンゴが広がる場所へ出た。5年前に石垣島へ行った時は、同じようなエダサンゴの上はバリバリに壊してしまいそうで怖くて行かれなかったが、この5年間で中性浮力がバッチリ取れるようになったお陰で今は平気で入って行ける。

ビデオを回しながら少し行くとチーちゃんが黄色い魚をビデオで狙っていた。
(あれがスミレナガハナダイだな)
と、直感すると軽いダッシュでそばへと急ぐ。そういえば水中での運動はエアの消費に直結するので、なるべく動かないように気をつけ始めてからエア持ちが格段に良くなった。
目の前を20cmほどの黄色いメスのスミレナガハナダイが3匹泳いでいる。別にダイバーを怖がる様子も無く、マイペースな感じだ。その少し先に紫っぽい赤いオスのスミレナガハナダイが1匹いたのでバッチリとビデオに収める。こいつは石垣で見たのと違って体側のサロンパスが見えないほど薄い。

しばらくエダサンゴで遊んで、ゆっくりとアンカーを打った場所へと戻ってきた。
チラッとゲージを見るとまだ残圧は十分に有る。アンカーロープが見える範囲でフリータイムとなったようなので、そこかしこを録画して回る。
フイに目の前にモンガラが現れた。
「モンガラ、ゲーット」と叫びながらビデオで後を追う。
向こうも必死で逃げる。振り切られて少々息が切れた。

と、今度は向こうからサメが向かって来た。一瞬目が合った気がしたが、向こうがコースを変えて遠ざかって行った。
その様子をビデオに収めて、はるか前方の何人かが群がっている方に目をやると、チーちゃんとワイフが手招きしている。
そばへ行ってみると岩陰にサメ(ホワイトチップ)がいた。さっきの片割れかもしれない。
こいつはおとなしいサメなので腕を目いっぱい伸ばして正面からビデオに録画した。

お盆サイズのテーブルサンゴの陰にハリセンボンがひそんでいて、こちらの様子をうかがっている。

最大深度 -15m
平均深度 -7.7m
水 温   27℃
潜水時間 62分

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

2本目 アムロ漁礁

いつものようにタンク交換に港に戻り小休止すると、今日の2本目のポイントへとボートは発進した。
今日の2本目は「アムロ漁礁」。餌付けをやるという。

エントリーして着底前の状況をビデオに取ろうとスイッチを入れたが、電源がオンにならない。
(あれ? まさか水没?)
とハウジングをひねくり回して見てみたが、水没の気配は無い。
(おかしいなァ…)
と思い、何度か電源スイッチをひねってみたがガンとして電源がオンにならない。さっき船の上でゴトンと転がってしまい、その時にバッテリーパックが外れてしまっていたのが原因だった。結局ビデオは諦めた。

水面に近い中層をカマスの群れが走っている。
ここは他のグループも餌付けをするのかダイバーめがけて早くも黄色い魚たちが集まってくる。
水底には中が繰り抜かれたコンクリートが折り重なって沈められていて、サンゴや海藻が付いている。
ゆるい流れがあって、コンクリートの縁につかまっていないとフワフワと流されてしまう。

何番目かの順番待ちの後、スタッフのタクちゃんが網の袋からいわしの切り身を取り出して手渡してくれた。それを体の左に腕をいっぱいに伸ばして魚たちに食わせる。ものすごい力で噛み切っては魚が襲ってくる。
ニセフウライチョウチョウウオ、オニハタタテダイが多いが、中に超レアなスポットネイプバタフライ(ひたい部分、黒線が途切れている)が混ざっている。

コンクリートでできた漁礁の周りはエダサンゴが群生している。
マダラハタが悠然と泳いでいる。

最大深度 -13m
平均深度 -9.7m
水 温   27℃
潜水時間 40分

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

夜は「沖縄リゾート」さん併設のパブレストラン「アルデバラン」で良く冷えたオリオンの生ビールと「蔵」という泡盛を飲みながらの食事&ロギングタイム。
食事は毎晩オーナー自らが厨房に立って「ごちそう」を振舞ってくれる。
大体ここのオーナーは料理人としてでも生活できるほどの腕前なのである。毎晩趣向を凝らした食事でゲストをもてなしてくれる。
そして実のところ、リピーターの多くはオーナーの料理もお目当ての一つなのである。

今回のツアー期間中は、チョット和風味の八宝菜、カツオとワカメの出汁(だし)が良く出ているコーチー地鶏と野菜たっぷりの鍋うどん、牛肉が余ってしまったBBQ+特製焼きそば、年に1回しか作らないという幻のカレー。

ただ、オーナーが飲まないせいか、直ぐにご飯が出てきてしまうのが「飲兵衛」には玉にキズ。