白崖(シラガケ) 1999年11月3日
1本目。
今回は「白崖(シラガケ)」を2本潜った。戸田(へだ)の湾を出て今朝も正面に富士山を見ながらボートは進む。富士は山頂付近が雪におおわれていて子供の頃に書いた「富士の絵」そのままだ。やがていつものように大瀬崎の先端近くまで来て係留。
「痛さん、底が見えてるョ」とオーナー。
「ウワ~! ホントだ!」
海から見る西伊豆の山もボチボチ色づいている秋の大瀬崎。ボートのヘリから少し身を乗り出して海底を透かして見ると岩肌がまだら模様に揺れている。
「それじゃ行って下さい」のオーナーの声に、ジャイアントストライドでザブンと入った。
水面で軽く一発耳抜きをして潜降開始。潜降ロープの先、-14mの海底がクリアに見えている。先にエントリーしたY子ちゃんの泡を少しウザッたく感じながらゆっくりと着底した。流れはほとんど感じない。
集合して横尾オーナーが「行こう」とシグナルを寄越す。最初に少し移動して手のひらサイズのクマノミを見に行った。ここのクマノミも元気が良い。我々が近づくと「つがい」なのか2匹で果敢に威嚇してくる。そしてごろたの縁(ふち)から一気に深度を下げ、そのまま縁に沿って進んで行く。-25mあたりまで降りて来て透視度は15m位だろうか、上空の雲の影響で時折暗くなるが水中ライトはいらない。
やや行った所で小魚の大群に遭遇した。ネンブツダイ、イシモチがびっしりと雲のように漂っている。その大群の中に分け入って行くが彼らは逃げようとはしない。我々もすっかり大群の一部に同化してしまった。 40cmくらいのブリが2匹、中層を泳ぎ回っている
EN.10:55 EX.11:32 潜水時間:37分
最大水深:-32m 水底水温:23度
◇ ◇
2本目。
1本目があまりにも良かったのでオーナーは大型の水中カメラを持ってきた。
ポイントに着くとカメラを抱えてオーナーが真っ先にエントリー。しかも大きなカメラを胸に抱いてのフロントロールである。続いてこちらはジャイアントでエントリー。水面はそれほど感じなかったが潜降ロープ伝いに潜って行くとかなり強い流れがある。-14mで着底したが手近な岩を掴んでいないと流されてしまう。透明度はすこし落ちて10mほどである。着底した辺りはメダカサイズの小さな魚の水族館状態だ。
やがてY子ちゃんが降りてきて、しばらくしてUさんとMさんが降りてきた。オーナーはホームページに使うのか、潜降してくる彼らを下から撮影している。
全員揃った所で移動を開始。ゴロタの上をゆるゆると降りて行く。左からの流れを受けてオーナーの後を追うのが疲れる。そのオーナーは気に入った被写体を求めてマイペース。5,60cmくらいのウミウチワを背景に何度かストロボが光る。流れの中で体勢を固定するのは大変そうだ。
少し移動して岩の窪みをゴソゴソやっている。そして手招きされて近づいて見るとチョットした窪みに小さなタツノオトシゴが揺れている。水中ライトを取り出して他のメンバーにも知らせる。
オレンジ色も鮮やかにキンギョハナダイが群れている。
帰り道は流れに逆らう格好になった。頑張ってフィンキックしないと進まないので岩伝いに体を押し進める。だんだん息が上がってくるのが分かる。
残圧計を見るとまだ100あるから大丈夫だろう。自己管理できる、と信用されているのかオーナーは何度かの残圧チェックの時にこちらには聞いてくれない。
今回は今年Cカードを取ったMさんが14本目だとかで一番経験が少なく、オーナーが気を遣っているのが分かって面白い。
やがてボートの下まで戻ってきたが、不思議なことに流れが緩やか、というか無くなっているのに驚かされた。
ボートに上がると、さすがに寒い。ウエットの上半身を脱いでTシャツとトレーナーを着込み、さらにウインドブレーカーを羽織る。
EN.14:19 EX.14:56 潜水時間:37分
最大水深:-27m 水底水温:22度