ちゅらさん 2001年8月27日
最終日。
今日は朝から忙しい。
「はいむるぶし」にはダイバーのために専用の器材洗い場があって、嬉しい事に温風で器材を乾かす乾燥室まで設備されている。
昨日ダイビングから帰ってから、ここで器材をザブザブと洗って一晩この乾燥室に干しておいた。
朝6時過ぎに乾燥室まで行ってすっかり乾いた器材を取り込むと部屋へ持ち帰ってパッキングに入る。
器材はセンター棟にある売店から自宅へ宅配便で送ってしまう。
家族揃っての朝食を済ますとそれぞれ帰り支度に取り掛かる。
「はいむるぶし」から小浜港まではセンター棟から予約制の送迎バスが出ている。
チェックアウトしてこの送迎バスで港まで送ってもらい石垣島までの定期船に乗り込んだ。
やがて予想に反して定期船はほぼ満席となった。
席があらかた埋まった頃、3列前に陣取った親子連れの子供たちが
「エリちゃんだ!」
と騒いだ。
関係者と思える男性があわてて子供たちの席に走りより口に指を当てて
「シー」
と、騒がないように頼んでいる。
NHKの朝の連ドラ「ちゅらさん」の最後の収録が行われていた事はNHKのニュースと地元の人たちの会話で知っていた。
どうやら我々はその収録を終えた主人公役「エリちゃん(国仲涼子)」と乗り合せているらしい。
一瞬船内がざわつく。
その「エリちゃん」は一度席に着いたが、見送りの人たちに別れを告げにデッキへと出た。
チューリップハットの裾を目深(まぶか)に下げているので表情は分からない。
カキ氷かジュースのカップにストローを挿したものを手にしている。
小柄な普通の女の子だ。
船が桟橋を離れ、石垣港に向かって走り始めると「ちゅらさん」の「エリちゃん」は席に戻って来た。
定期船が石垣港に入り、桟橋に係留されると「ちゅらさん」は最後に船を降りて来た。
当然のように先に下船した乗客がカメラを構えて待ち受ける。
一緒に出て来たマネージャと思しき女性が、
「カメラはご遠慮下さい!」
と叫んでいる。
「ちゅらさん」は桟橋で待ち構えていた事務服の女性から花束を受け取ると、足早に用意された車へと去って行った。