2日続けてマクタン島 タンブリ、コンティキ(1998年7月30日~7月31日)


 昨夜もひどいスコールの洗礼を受けて滞在3日目、7月30日の朝が来た。3日目ともなるとスコールの音も本当に気にならなくなるから不思議だ。
 昨夜はプールで泳ぎつかれたのか早目に床に着いたので、今朝はセブへ来て最高の体調で目が覚めた。喉もそんなに痛くない。

 今朝のダイビングサービスへの集合は初日と同じ午前8時30分。昨日より1時間遅いということは朝もゆっくりと出来るってことだ。パンと目玉焼きの朝食を摂り、アイスティーをゆっくりと飲んでからダイビングサービスへと向かった。

 ダイビングサービスには既に何人かが来ていて、バラバラに竹で作ったテーブル席についている。昨日ダイビングサービスに置いて行った自分の器材をチェックし、カウンターで今日のダイビングの伝票にサインする。器材はメッシュバッグごとザブザブとスタッフが洗ってある。3回目の朝ともなれば手順の勝手が分かってくるので手際も良くなる。チョット奥まった所に据え付けられたホワイトボードに今日の参加者の名前と部屋番号、それと引率するダイブマスターの名前が書かれている。いつものように8時30分から日本人スタッフのブリーフィングが始まった。ホワイトボードに書かれた名前を読み上げ、グループ分けが示された。今日、我々をガイドしてくれるのはロイさん。日本語はあまり話せない。そしてブリーフィングが終わっていつもの桟橋をトコトコと船に向かった。

1本目。

 今日の1本目のポイントは「タンブリ(Tambuli)」、魚の餌付けがメインのポイントだ。いつものように水面で集合の後、-5mのリーフで再び集合する。が、今回は一人うまく潜降出来ない女の子がいて、しばらく待たされた。海底から上を見上げると潜降できずにもがいている人が居る。てっきり我々のグループの女の子だと思ってしばらく見上げていたら後(うしろ)からワイフにつつかれた。振り向くと既に全員そろっていた。どうやら別のグループの人と勘違いしていたらしい。
 今回のメンバーは昨日の夜我々の隣の部屋へ到着した京都の女の子、それと我々と同じ横浜から来ている女の子同士二人連れの5人のチームである。

 ようやく全員がそろった所でリーフエッジから壁伝いに-20mまで一気に降りて行く。ロイが一人の女の子の手を引いている。うまく潜降できずにパニックになっているのか、少しの間そうやって手を引いていたがやがて離れた。-20m辺りの深度を保ちながら、そのまましばらく流れに任せてフワフワと進むと餌付けを行う穴の前にやって来た。穴は大人が4、5人立って入るのがやっとの大きさで奥行きもほとんど無い。そこに全員が入ってしまったのでほとんど身動きができない。ロイがパンを取り出してメンバーに手渡し始めた。そして皆がパンを崩すと、どこから湧いてきたのか縦縞のオヤビッチャがあっという間に我々を取り囲み、すごい勢いでパンをついばみ始めた。

 しばらく魚の餌やりで楽しんだ後、ロイを先頭に移動を始めた。この辺りの流れは緩やかで、余計な動きをしなくて良いのでノンビリと周りを見回しながら流れに身を任せていた。壁には比較的大きなソフトコーラルが群生していて飽きることはない。京都の女の子はかなり精力的に壁のあちこちを動き回っている。女の子の二人連れはノンビリと漂っている。ワイフもゆっくりとドリフトしている。時々壁と反対側のブルーの世界を見渡すが大物は流れてこなかった。

 ゆったりとしたスピードで壁沿いを流してやがて-5mで安全停止に入った。マクタン島ではこの深度はメチャ明るくて、クマノミが必死になって棲み家を守ろうと突進してきたり、ほんの1、2cmの小魚がたくさん群れていたり、海底を這い回っていてもジッとしていても飽きることが無い。

 そして最大深度-20m、残圧80を残して46分の水中散歩をエキジット。我々を収容すると、船はホテルを目指して引き返した。


 昼食をはさんで2本目の集合は12時半。約1時間半の水面休息が与えられたので、ホテルへ戻るとプールサイドのシャワーへ一目散に戻ってお湯のようなシャワーを浴び、塩を落とす。そのままプールで一泳ぎして昼食を摂りにレストランへ。
 レストランではぬれた水着のままだったのでテラスの方のプラスチックの椅子席についた。頭上には透明な光を発して太陽が燃えている。あまり風が吹かないせいでジトっとしている。頭上で咲き乱れているブーゲンビリアのピンクが目に鮮やかだ。


2本目。

 昼食を終えて船へ戻ると定刻通り、次のポイントへ向けて船は桟橋を離れた。ポイントへは直ぐに到着してしまうので、船が動き始めるや我々はウエットを着始める。5mmのウエットは我々夫婦だけなのか、ウエットを着てしまうととたんに汗が噴き出して、一刻も早く海に入りたくなる。
 2本目のポイントは「コンティキ(KonTiki)」、流れも穏やかで、浅めを潜ると言っていた。やがてポイントへ到着して、ザブンとエントリー。なにしろ水温が30℃からあるのだからぬるま湯に浸かっているようだ。1本目はムチャクチャ緊張していたという京都の女の子も2本目となると大分リラックスしているようだ。

 ロイを先頭に、リーフエッジから比較的緩やかな斜面を-15mほどまで一気に降りると、ほぼ同じ水深をゆったりと移動する。ここのポイントは今まで以上にハードコーラルの数が多くて、サンゴを楽しみに潜るには一番良いかもしれない。ただサンゴの種類はあまり多くなくて、キャベツのようなもの、あるいは小さなテーブル状のものがメインである。サンゴの成長には水温25~29℃が最適なのだそうだ。ここの海は水温が高すぎてサンゴにはあまり良くないのかも知れない。

 突然ロイが止まって「岩陰を覗け」と合図している。少し暗かったので水中ライトを取り出して光を当ててみると、そこにはミノカサゴの小さい奴がうずくまっていた。これまでのガイドは皆「ただ先導していただけ」だったが、ロイさんはフィッシュウォッチングをさせようとしてくれているらしい。

 少し進むと今度は「ゴンズイの滝」に出くわした。ロイがゴンズイの塊にチョッカイを出すと壁の窪みに沿って上から下へゴンズイの群れがダーッ!と流れ始めたのだ。それはおびただしい数のゴンズイの群れだった。ここのゴンズイは「ゴンズイ玉」にならないのだろうか、途中群れで泳いでいるゴンズイも目撃した。

 そのまましばらく壁伝いに移動してやがて浅場で安全停止。浅場にはサラサゴンベがキレイな模様を見せびらかすかのように数匹泳いでいた。


 2本目をエキジットしてダイビングサービスに戻ってくると、早速日本人のスタッフが寄ってきて「明日の予定はどうする?」と聞いてきた。我々は既にここには3日間滞在しているので向こうも顔を覚えているのか「明日もマクタンでいい」と答えると、誘っても金にならない客と見たのか新顔の客の方へと「営業」しに行ってしまった。どうもここの日本人スタッフは「いわゆる営業さん」で「売上増加」が主な仕事となっているのか、感じが良くない。


 一夜開けて7月31日の朝が来た。昨夜は珍しくスコールが来なかった。
「昨日来た人はスコールで寝不足無くて良かったね」
などとワイフと軽口を叩きながら朝食を摂り、8時半に少し早くダイビングサービスに向かった。
 そしていつもの行き先別のホワイトボードを見たら今日のポイントが昨日のままになっている。日本人のスタッフからしきりと器材の購入を勧められていた人も不審に思って
「これ今日のポイントじゃないですよね?」
と日本人スタッフに聞いたら
「アァ、後で直しときます」との返事。
ブリーフィングでもポイントに関しては何も話題が出なくて、今日の我々のガイド、ジュリートが紹介された。

 いつものように桟橋を通り、船に乗り込むとあまり日本語の話せないジュリートから1本目は「タンブリ」だと聞かされた。
「エ~、昨日潜ったョォ」と言っては見たが後の祭り。結局2日続けて同じポイントを潜るハメになってしまった。魚の餌付けも同じ、2本目のポイントも同じ。
「でも、ここならサンゴも綺麗だし、続けて潜ってもいいね」って言ってたもんネ。と、ワイフに慰められた。

 ただ昨日との大きな違いは一緒に潜ったグループの経験のバラツキ。ダイビングサービスでグループ分けする時に経験本数で分けているようだが、今日のメンバーは40本位の我々夫婦と10本台の男一人女二人の仲間同士の5人チーム。1本目のエントリー直後に水面で「何本潜ってる?」とジュリートから英語で聞かれたのでこっちが46本、ワイフ36本と伝えた。
 そして昨日と同じコースで1本目を潜ったのだが、途中から浅場へ上がってしまってそのままエキジットしてしまった。船へ上がってジュリートと話していたら「途中で残圧チェックしたら若い男の子が50と答えたので驚いて浅場へ上がってしまった。その時あなた方は100と答えていたのに」と言っていた。
 そのせいか2本目もサンゴの綺麗な場所へ行く前にリーフへ上がってエキジットしてしまった。

(きっと我々も10本台の頃は一緒に潜っているメンバーの足を引っ張っていたんだろうなァ…)そんな思いを胸にしてセブ・マクタン島でのダイビングは幕を閉じた。