エピローグ(1998年8月2日)


 8月2日は午前4時に起床。いよいよ今日でセブともお別れだ。帰りの飛行機がまた朝早くって、セブ・マクタン空港を午前8時発の成田直行便である。そのために今朝は午前5時30分ホテル発のスケジュールになっている。

 昨日は突然やってきたスコールのお陰で、早々と荷造りを済ませておいたので朝は慌てずにすんだ。で、まだ薄暗い5時にフロントでチェックアウトした。請求書はホテルの宿泊分とダイビングの分の2枚に分かれていた。ここではVISAカードが使えると言うので支払いはすべてカードで済ませる。そして支払いを済ませ、朝の5時からやっているレストランでせわしない朝食を摂る。コーヒーを飲んでいて、ふと目の前の人の手元を見ると、チェックインの時に預けた帰りの航空チケットらしき物を持っている。我々は支払いの時に返してもらっていない。

「あれ? 我々の航空チケットはいつ返してもらえるのかな?」と、声に出して言うとワイフは
「飛行場で呉れるんじゃないの?」
「そんなバカな。ちょっとフロントで聞いてくる」
と言ってフロントへ行き女の子に
「預けたエアラインチケットはいつ返してもらえるの?」と聞くと
「ルームナンバー?」と逆に聞いてくる。
「303」と答えると、背後にある木枠でできたポケットから伝票と航空チケットを取り出し、
「この伝票の分を支払って下さい」と言っている。
見ると、部屋の冷蔵庫のビールの伝票が遅れて届いていたようだ。確かに今朝チェックに来た時の伝票が1枚だけ残っていた。
サイフからペソを取り出し、現金で支払って無事に航空チケットを返してもらった。

 そうこうしているうちにホテルが用意した空港までの送迎用のワンボックスが3台やってきたので、そのうちの1台に乗り込んだ。空港へ向かう途中の風景は、来る時は真っ暗で周りの様子がまるで分からなかったが、ようやく明け始めた景色は日本の農村地帯のような感じだ。20分ほど走って車はセブ・マクタン空港に着いた。

 空港に着くと先ず荷物検査を受けた。荷物をテーブルの上に置き、いちいち中を開けさせられる。「ダイビング?」と聞かれたので「イエス」と答えた。それから搭乗手続きだ。我々が並んだ列の隣のカウンターが開いたのでワイフに引っ張られてそちらの列に移った。が、我々の番の時に荷物の預かり札を発行する機械のリボン切れで印刷できなくなってしまい、係員から「別の列に並べ」と言われてしまった。しかたなく隣の列の最後尾に並び直す。

 そうこうして搭乗手続きの列に並んでいる間にカウンターに置いてあったEDカードに必要事項を記入する。マニラ国際空港に到着した時にさんざん焦った教訓を生かして、ワイフは昨日ホテルの部屋でEDカードの書き方をバッチリ勉強してきている。

 搭乗手続きが済んでダイビング器材の入った重いバッグを預けてしまうと、次はイミグレーションでの出国審査だ。途中の窓口で空港施設使用料の500ペソを支払い、出国審査の列に並ぶ。まだ朝が早いせいか、それとも出発便が少ないせいか、列はそんなに長くない。何事もなく出国審査を通過すると手荷物検査を受けて出発ロビーへと入る。ここでの手荷物検査も徹底していて、荷物の中身をすべて見られる。

 そして定刻午前8時、成田直行便のフィリピン航空PR434便はセブ・マクタン空港を離陸した。